本書は戦前の上海にあった東亜同文書院大学（以下書院）の図書館の世界を初めて明らかにした。先行論文が無い中、試行錯誤の感もあった。著者自ら、アジア歴史資料センターの外務省外交文書のデータベースの世界にどっぷり填まり、５年間を費やしてやっと完成した渾身の一冊である。 書院は２度の戦火で校舎も図書も全て焼失したにもかかわらず、その都度甦った激動の軌跡を辿ることで、何故・どうして再建できたのかという疑問を解き明かすことが出来た。